鉄は「産業のコメ」、「鉄は国家なり」と呼ばれるほど産業の中核と
なっています。そんな鉄から作られる鉄鋼製品について学んでみましょう。
銑鉄・鋼
鉄鉱石をはじめとする製鉄原料などを、高炉や電気炉などの炉で還元し、
鉄分を取り出したものを銑鉄(せんてつ)といいます。
また、高炉から取り出された銑鉄を溶銑、冷えて固体になったものを冷銑と呼びます。
冷銑は、取り扱いしやすいように鋳銑機で10〜30Kg程度の塊に鋳込み、
これを型銑、俗に『なまこ』と呼びます。
高炉と電炉
鉄鋼製品を作る炉には、大きく分けて高炉と電炉の2種類があります。
高炉とは
高炉とは、製鉄所の主要な設備で、鉄鉱石から銑鉄を取り出すための炉です。高炉は、鉄鉱石から高炉、転炉、連続鋳造工程を経て最終製品(主として各種鉄板、
パイプ類)を生産する大規模な製鉄所のみが所有しており、このような製鉄所を
持つ鉄鋼会社は『高炉メーカー』と呼ばれています。
電炉とは
電炉(電気炉)とは、アーク放電と呼ばれる雷に似た放電を人工的に発生させ、その放電熱によって鉄を融解し酸素や硫黄などの不純物を取り除いた上で製鉄を
行う炉です。
電気炉による製法は高炉とは異なり、鉄のリサイクルを主とした製鉄法であるため、原料は鉄鉱石ではなく、鉄スクラップを利用します。
熱延鋼板
転炉で精錬された鋼は、連続鋳造機で冷やされ、半製品のスラブとなります。
スラブを薄板にする為、1000℃以上に加熱した約250mm厚のスラブを
一直線上に並んだ複数の圧延機で連続的に圧延し、最終的に1.2mm程度まで
薄くします。コイル状に巻き取った帯鋼を総称して、ホットコイルと呼びます。
この中で、厚さ3mm未満の切板を熱延薄板、3mm以上6mm未満の切板を熱延中板と呼びます。
熱延鋼板の用途としては以下のようなものがあります。
バスやトラックなどの大型車両、鉄道車両、 各種容器、橋梁、屋根材、ガードレール ⇒冷延鋼板や表面処理鋼板、溶鍛接鋼管、軽量形鋼の原板となる
冷延鋼板
熱延コイルを酸で洗い表面のスケールを除去し、常温で薄く(0.15〜3.2mm)均一に圧延し、
その後、焼鈍および調質圧延したものを冷延鋼板と呼びます。
冷延鋼板の用途としては以下のようなものがあります。
自動車や電気機器、鋼製家具の最終製品等に利用 ⇒一部はブリキ、亜鉛めっき鋼板用の素材としても利用される
ブリキ
ブリキとは、冷延鋼板に錫(すず)めっきを施した表面処理鋼板のことです。
ブリキの用途としては、以下のようなものがあります。
コーヒー缶やツナ・フルーツ缶その他のさまざまな用途に利用
ティンフリースチール
また、錫無し鋼板のことをティンフリースチールといいます。
電磁鋼板
電磁鋼板とは、電気の力を動力に変える役割をする、冷延鋼板の一種で、 3%程度の珪素を添加した特殊な鋼板のことをいいます。電磁鋼板の用途としては、 以下のようなものがあります。
大型発電機、変圧器、電気機器類の鉄心など
棒鋼
棒鋼には、断面が円形の丸棒、建設用の異形棒鋼、正方形の角鋼、板状の平鋼などがあります。 また、棒鋼の用途としては、以下のようなものがあります。
自動車・産業機械用のエンジン・駆動系部品、 ボルトやナットの構造部材、船舶用のチェーンなどの素材
形鋼
形鋼は、建築用の構造材などに使用され、目的に合ったさまざまな断面形状を
持つ長い鋼材です。
H形鋼
断面がH形の形状でフランジ幅が広く、他の形鋼に比べて剛性や断面効率に優れた、最も需要の多い形鋼がH形鋼です。
建築や橋梁、地下鉄、船舶などの構造材用と、 岸壁や橋梁、建築物、高速道路などの基礎杭用がある