他国との貿易を行う場合、国内取引と比較して、法律、貿易制限や商習慣等が異なる場合もあるため、
取引先とのトラブルが発生しやすいのです。
このため、取引を円滑に進めるために、すべての取引に共通する取引条件を契約書等に
予め定めておくのが一般的です。
具体的には以下のような条件があります。
品質条件
貿易取引の場合、相手が遠く離れている事が多いため、商品の品質を直接確かめる事ができません。 このため、品質について事前にどのようにするか合意しておく必要があります。
見本売買 (Sale by Sample)
売買する商品の見本を提示して品質条件を決定する方法
標準品売買 (Sale by Standard Quality)
公共機関などが定めた標準品を取引の基準とする方法
銘柄売買 (Sale by Trademark or Brand)
ブランド等が世界的に知られている場合、 そのブランドなどを指定する事で品質を決定する方法
仕様書売買 (Sale by Specifications)
設計図をもとに商品の構造、材質、性能等に関する 詳細な仕様書を作成して契約の中で品質を決定する方法
規格売買 (Sale by Grade or Type)
国際的な規格が統一されている商品の場合、 その規格を品質条件とする方法
数量条件
数量の単位は、国や地域によって異なる事が多いため、トラブルになる事があります。
このため、数量を明確に定める必要があります。具体的には以下のような事柄があります。
・取引の数量単位の基準 ・取引の数量決定時点 ・数量に過不足があった場合の取り扱い ・最小引渡数量（取引1回あたりの最小限注文数量）
価格条件
価格の条件では、取引条件に応じた取引金額と
決済する通貨を取り決めます。
商品代金だけではなく、運送費用や保険料、関税などの費用も発生しますので、
どちらが、どの範囲まで負担するかについても取り決める必要があります。
これらの貿易取引条件は定型的に定められており、
インコタームズと呼ばれ
貿易取引で頻繁に使用されています。
インコタームズ（Incoterms）については、
詳細ページをご参照ください。
受渡条件
受渡条件では、貨物の受渡場所や受渡方法、受渡時期、積み替えの可否、
分割船積の可否について定めています。
なお、受渡場所は、FOBやCIFといったインコタームズのルールに基づいて
売主と買主との間で合意する事で決定されます。
決済条件
決済条件は、決済の時期と決済方法によっていくつかの種類に分類されます。
決済の時期
前払い (Payment in Advance) 船積前に取引代金の一部あるいは全部を決済する方法
後払い (Deferred Payment) 商品等を引き渡してから、一定期間経過後に代金決済を行う方法
同時払い (Cash on Shipment; Payment against Documents at place and time of shipment) 輸出地にある輸入者の取引銀行の支店または為替銀行に船積書類などを提出し、 それと引き換えに代金を受け取る方法
決済方法
信用状付荷為替手形による決済 (Documentary Bill of Exchange with L/C) 信用状に基づき決済すること。信用状決済あるいはL/C決済ともいわれる。
手形支払に対する書類引渡しによる決済 (D/P; Documents against Payment) 輸入者が手形の支払いを行うのと同時に船積書類を入手し、 貨物を引き取る事ができる方法
手形引受に対する書類引渡による決済 (D/A; Documents against Acceptance) 輸入者が手形の引受けを行うのと引き換えに船積書類を入手し、 貨物を引き取る方法
取立手形 (B/C; Bill for Collection) 銀行が輸入者から実際に手形代金を回収した後に 輸出者に支払われる方法
送金決済 (Remittance) 送金決済には以下の3つがある。 ・送金小切手 ・郵便送金（付替） ・電信送金
ネッティング 債権債務を1件ごとに決済するのではなく、互いに相手勘定を設けて 計上しておき、一定期間ごとに相殺してその差額のみを決済する方法
分割・延払方式 分割前払いと延払方式を組み合わせたりすることもある。 船舶や巨額のプラントの輸出取引に用いられる。